木版画会議とは

3年に一度開催される国際木版画会議(以下IMC)とは、版画家、学術機関、大学、研究者や版画用品メーカーが一堂に会し、木版画に関わる新たな機会を創出するべく、世界各国での様々な木版画に関する実践や研究、現代の新しい取り組みまで幅広い視点で議論する貴重な機会です。

第一回のIMC2011は、京都と淡路で行われました。第二回であるIMC2014は東京藝術大学がメイン会場とし、サテライトイベントはアーツ千代田3331を会場として行いました。そして第三回のIMC2017では、初めて日本国外に場所を移し、米国ハワイ州のドンキー・ミル アートセンターがホストとなり、ホルアロア芸術文化財団と協力し、本会議はホノルルにあるハワイ大学で、そしてサテライトイベントはハワイ島のドンキー・ミルで行われました。

日本人にとって身近な存在である木版画を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。私たちの多くが小学校か中学校で木版画制作を美術、図工の時間で行なっているかと思います。しかし近年、学習指導要領が変わり、木版画を必ずしもやらなくても良い内容になりました。私たちが共有してきた木版画に対するイメージは変わってしまうかもしれません。また、ここ数十年で数多くの和紙工房が廃業に追い込まれています。理由は需要の低下、後継者不足、そしてとても手間のかかる和紙製造、原料となる植物の栽培に対する見合わない賃金の低さなどです。しかし、1300年続く技術を絶やしてはいけないと奮起する和紙工房もあります。

このように日本国内での木版画に関する環境は厳しくなる一方、海外での木版画への注目度は日に日に増しています。その理由は水性木版画が自然環境や身体に優しいこと、作品を作る上で柔軟で表現に富んでいること、特別な工房を必要とせずどこでも制作が可能なことなどからです。しかし、日本国内でも言えることですが、海外では特に木版画の技術向上に関する情報や道具、素材、市場、指導書など情報が不足しています。そこで3年に一度集まり、情報を共有し、ネットワークを作ることが求められたのです。

日本に住む版画家、学術機関、大学、研究者や版画用品メーカーにとっても世界と繋がる大きなチャンスとなっています。木版画が世界にもっと普及すれば、和紙や道具の需要が増え生産拡大にも結びつくでしょう。私たちにとって身近な「木版画」を未来に残すべく、より価値あるものとして世界中の人たちと共有しませんか?