佐竹 宏樹×鈴木 健二

Woodblock
Woodblock/Woodblock
Woodblock
Woodblock
ピクトグラム
circle pieces RABATMENT(of a short side)
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作品についてのコメント

木版画を置き換える

鈴木健二

 私は普段「絵画とは何か?」ということを考えながら絵を描いています。
 その過程でコンテンポラリー・アート、特に初期のコンテンポラリー・アートには、「別の何かとして見る」という作品が多いことに気付きました。それらの代表は日用品をアートとして見るというレディメイド(既製品)と呼ばれているものです。日用品以外にもある物や事を絵画や彫刻として見ることもあります。こうした作品を「置き換えの作品」とひとまず呼ぶことにします。置き換えているものは例えば日常からアートへといった文脈(コンテキスト)です。
 私は普段そういった「置き換えの作品」の制作をしていませんが、今回、不慣れな木版画を扱うことで、いつも以上に扱うメディアを意識しながら作品制作をする良い機会と捉え、それを試みました。

 作品のうちの一つは「切り出した木」を「版木として」用いました。刷られているのは切り出した木の断面です。それら「木の断面」は木版画として彫ることをしていませんが、それを刷ることで「木版画として」提示します。また「版木として使った木」を「オブジェクトとして」展示します。
 もう一つは鑑賞物から表示物(非鑑賞物)への「置き換え」をほんのわずかではありますが試みました。(このようなアートからアートではない物への逆方向の「置き換え」は日常的にあり得ます。)
 今回、ピクトグラムを制作しました。ただし木版画の技法を使ってです。
 今回制作した作品がコンテンポラリー・アートであるというよりも、コンテンポラリー・アートというものを確認する演習のような作品であるといった方がしっくりきます。
 「置き換え」を意識して制作することで「木版画」や「オブジェクト」、「絵」や「図」といった言葉に私自身が持っているイメージの境界線を探るような感覚がありました。

 こうした「置き換え」は物事の見方を少し変える、一種のひねった遊びと言えるでしょう。あるいは木版画においては言わば非公式の方法であるけれど、コンテンポラリー・アートにおいては公式の方法と言えるかも知れません。そのようなコンテンポラリー・アートの方法はルールが決まったように感じる事柄でも、それだけではないということを見る人に揺さぶって気付かせる方法でもあるのです。(決まったルールで遊びたい場合は余計なお世話ですが)

 これは誰でもが行える遊びです。「置き換え」を試みて、あなたの中の境界線を確認してみてください。

アーティストトーク

佐竹 宏樹 Hiroki Satake

木版画作家

1996年東京造形大学卒業、1998年長崎大学大学院教育学研究科修了。2000年に参加した兵庫県津名町長沢アートパーク・アーティスト・イン・レジデンス・水性木版画研修をきっかけに、国内外のアーティストとコラボレーションや交流展、ワークショップを行う。モデルと共同で壁画を作る「おハながらート・プロジェクト」を展開している。現在、東京造形大学特任教授。

鈴木 健二 Kenji Suzuki

画家

1998年東京造形大学卒業、1999年同大学研究生修了。2004年 switch point(東京/国分寺)他個展、グループ展を開催。2021年4月にHIGURE17-15cas(東京/西日暮里)で個展の予定。長年取り組んできた「絵画とは何か」というテーマの基に新作とテキストを発表する予定。