国際木版画会議とは

3年に一度開催される国際木版画会議(以下IMC)とは、版画家、学術機関、大学、研究者や版画用品メーカーが一堂に会し、木版画に関わる新たな機会を創出するべく、世界各国での様々な木版画に関する実践や研究、現代の新しい取り組みまで幅広い視点で議論する貴重な機会です。

日本人にとって身近な存在である木版画を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。私たちの多くが小学校か中学校で木版画制作を美術、図工の時間で行なっているかと思います。しかし近年、学習指導要領が変わり、木版画を必ずしもやらなくても良い内容になりました。私たちが共有してきた木版画に対するイメージは変わってしまうかもしれません。また、ここ数十年で数多くの和紙工房が廃業に追い込まれています。理由は需要の低下、後継者不足、そしてとても手間のかかる和紙製造、原料となる植物の栽培に対する見合わない賃金の低さなどです。しか、1300年続く技術を絶やしてはいけないと奮起する和紙工房もあります。

このように日本国内での木版画に関する環境は厳しくなる一方、海外での木版画への注目度は日に日に増しています。その理由は水性木版画が自然環境や身体に優しいこと、作品を作る上で柔軟で表現に富んでいること、特別な工房を必要とせずどこでも制作が可能なことなどからです。しかし、日本国内でも言えることですが、海外では特に木版画の技術向上に関する情報や道具、素材、市場、指導書など情報が不足しています。そこで3年に一度集まり、情報を共有し、ネットワークを作ることが求められたのです。

日本に住む版画家、学術機関、大学、研究者や版画用品メーカーにとっても世界と繋がる大きなチャンスとなっています。木版画が世界にもっと普及すれば、和紙や道具の需要が増え生産拡大にも結びつくでしょう。私たちにとって身近な「木版画」を未来に残すべく、より価値あるものとして世界中の人たちと共有しませんか?

国際木版画会議の経緯

国際木版画会議は、1997年から始まった水性木版画の海外普及事業(長沢アートパーク/国際木版画ラボ 主催:産業人文学研究所)の結果、海外の美術大学関係者やアーティストから要請されて始まったものです。

この事業の250人を越える参加者は、水性木版画を習得するという共通の目的を共有しているため、地域や年代、性別や立場を越えて様々なネットワークが形成さています。

このネットワークを基礎として、3年に一度開催される国際木版画会議となっており、水性木版画にかかわる様々な情報交換や課題解決策が議論されます。これまで2011年・第1回国際木版画会議(京都・淡路)、2014年・第2回国際木版画会議(東京・ホスト校東京藝術大学)、2017年・第3回国際木版画会議(ハワイ・会場ハワイ大学)で実施されました。

2020国際木版画会議では、活性化している海外の水性木版画の動向を、日本国内で水性木版画に取組むアーティストや、各地のサークルで熱心に作品制作に親しむ一般の人々に繋ぐことで、新たな展開となるように取組みます。

並行して国内の道具・材料の生産者(含奈良の墨)、流通事業者に直接海外のユーザとの接点を設けて産業の活性化に寄与したいと考えています。